十五夜
仲秋の名月と中秋の名月。どちらが正しいと思いますか?
旧暦では七月が初秋、八月が仲秋、九月が晩秋なので仲秋の名月とは八月の美しい月を表します。
お彼岸の中日と同じく中秋とは秋の真ん中の八月十五日を意味するので中秋の名月は十五夜のことを表します。
2009年の十五夜は十月三日でした。
さて満月だったでしょうか?
月と地球の公転の関係で新月から満月になるまで14~16日かかるためズレが生じます。
十五夜が満月だったのは2005年。
今年も来年も翌日が満月なのです。
中秋の名月を観賞する風習は奈良~平安時代に日本へ伝わり宮中で宴が催されるようになりました。
民衆へは五穀豊穣を願い祝う行事として広まりました。
稲穂に見立てたススキが供えられるのはそのためです。
山上憶良が万葉集に秋の七草を読んでいます。
「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」
尾花はススキ、朝顔は桔梗のことです。月にススキの図柄は花札の八月に使われています。
十五夜だけで十三夜(2009年は九月三十日)の月見をしないのは片月見といって嫌います。
旧暦九月十三日の十三夜は後(のち)の月とも言われ日本で始まったとされています。
十五夜は別名「芋名月」。
その丸い形を満月に見立てたのはもちろんのこと、里芋は一株から子芋孫芋と増えるため子孫繁栄と豊穣を表すため供えられます。
衣被(きぬかつぎ)とは白い肌に絹を被った女性になぞらえた名称です。
十三夜は別名「豆・栗名月」。
収穫時期が由来の豆や栗をお供えします。
小麦名月と呼ぶ地方もあります。
この日に限ってはお供え物や畑の作物を盗んで食べても咎められず、盗まれると縁起が良いと言われていました。
三方に供えるお団子の数は十五夜なら15(下から9・4・2個か8・4・2・1個)か5、十三夜なら13(下から8・4・1個)か3。またはその年の満月の数12(6・4・2個)、閏年なら13とされています。
月見団子は五穀豊穣を願い祝うためその象徴である米を使い、満月に見立てた丸い団子状にして供えられます。
最中も丸い形とその名前から秋の真中(最中)である中秋の名月にいただきます。
中国では月餅を食べます。
月見団子は月兎にも関連しています。
老人が空腹で苦しんでいたところ、サルは木の実を、キツネは魚を、ウサギは何もないので火に飛び込み自分の身を捧げたという仏教説話によります。
老人は帝釈天でそのウサギを月に召して食べ物で自らを犠牲にしないよう餅をつかせているのだそうです。
日本と同様韓国でも月面の模様は餅をつく兎だそうです。
中国では薬草をつく兎、ヨーロッパでは蟹・本を読む人、アメリカでは鰐・女性の横顔、アラビアではライオン、モンゴルでは犬で、嘘をつくとその犬に吠えられるそうです。