重陽の節句
陰陽五行説により陽数(奇数)の重なる日が節句で、最大数の九が重なる日つまり陽が極まる九月九日が重陽の節句です。
重陽の節句は菊の節句とも言われ日本では平安時代より観菊の宴が催されていました。
菊はその香りと美しさだけではなく、鉄分が多く古くから中国では滋養強壮の薬として栽培されていました。
花を煎じて飲んだり花びらを浸した酒を飲んだり、不老長寿の花と信じられています。
節句の前の晩に菊の花に真綿をかぶせ、九日の朝に菊の香りが移り夜露で潤ったその真綿で体を拭き清めると病気をしない、と言われています。
これは「着せ綿」と呼ばれ日本で生まれた風習です。
旧暦の九月九日は新暦で言うと十月から十一月頃で、かつて中国ではこの時期に山茱萸(さんしゅゆ)の枝を髪に挿し、山や丘に登り菊酒を飲み邪気を祓う、という風習がありました。
現代の日本でも菊のシーズンである十月から十一月にかけて各地で菊まつりが催されます。
また、お供え物をするという意味で節句の日などを供日(くにち)と言います。それと九日(くにち)が合わさりなまって「くんち」。
これが九州で有名なおくんち祭りの語源で、旧暦九月九日に行われていた収穫祭(九月二十九日の地域もあり)に由来します。
平安時代以前からこの時期に収穫を祝い栗の節句として栗ごはんを炊く風習も日本にはありました。栗ごはんは美味しい秋の味覚というだけではなく、血糖値を上げる米とその急上昇を抑える栗との食べ合わせが健康にも良いとされています。